2023-09-05
不動産売却で譲渡損失が発生した場合、譲渡所得税はかかりませんが、特例によってそのほかの所得の税金対策となることがあります。
本記事では、不動産売却における譲渡損失とはなにか、譲渡損失が発生した場合に利用できる税制特例と適用条件、特例を受けるための確定申告について解説します。
神戸市北区で不動産売却を検討中の方は、ぜひ参考になさってください。
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不動産の売却で得られる利益のことを「譲渡益」と呼びますが、売却損が発生したときは「譲渡損失」と呼びます。
譲渡益が発生したときは「譲渡所得」の確定申告が必要となり、税金が課されます。
一方で、譲渡損失が発生した場合は課税されないため、基本的に確定申告は不要です。
では実際に、不動産売却で譲渡損失が発生したかどうかの確認方法が気になりますよね。
譲渡損失は、以下の譲渡所得の計算で確認できます。
譲渡所得額= 売却金額-(取得費+譲渡費用)
取得費とは、不動産を購入した際にかかった費用です。
土地の価格、建物の価格、不動産取得税、仲介手数料などが含まれます。
譲渡費用とは、売却時にかかる費用で、仲介手数料や印紙税などが含まれます。
上記の計算結果がプラスなら譲渡所得、マイナスなら譲渡損失です。
前述のとおり、譲渡所得があれば譲渡所得税が課されますが、譲渡損失の場合は課されません。
譲渡所得税は、所得税と住民税の総称です。
令和19年までは、所得税額に2.1%の復興特別所得税も加算されます。
譲渡所得税は、所有期間によって以下のように税率が違うので注意が必要です。
●所有期間5年超え:税率20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
●所有期間5年以下:税率39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)
所有期間は、不動産を取得した日から売却した年の1月1日までの日数で計算します。
譲渡損失が発生した場合、特定の条件を満たすと、特例によりその年のほかの所得(給与所得や事業所得など)と相殺(損益通算)することが可能です。
譲渡損失とほかの所得を損益通算することによって、その年の所得税と住民税の額を減らすことができます。
また、譲渡損失が多額で損益通算してもなお損失額が残る場合は、繰越控除の特例により、売却した年の翌年から3年間にわたって損益通算することも可能です。
ただし、譲渡損失の特例を受けるには、確定申告が必要です。
特例の条件や詳細は、次章をご覧ください。
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不動産売却における媒介契約から売却活動の流れについて解説
マイホームを売却して譲渡損失が生じた場合、適用条件を満たせば、以下の2つの特例を利用できます。
マイホームの買換えに伴う売却で譲渡損失が発生した場合、その年のその他の所得と損益通算および繰越控除が可能です。
売却する不動産の適用条件は、以下のとおりです。
●所有期間が5年を超える
●敷地面積の500㎡まで適用
なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。
また、敷地面積が500㎡を超える場合は、500㎡までの部分につき適用となります。
買換え先の不動産の条件は、以下のとおりです。
●売却の年の前年1月1日~売却の年の翌年12月31日までに新居を購入
●購入の翌年12月31日までに入居または入居見込み
●床面積50㎡以上
●新居を購入した年の年末時点で返済期間10年以上の住宅ローンを組んでいる
特例を受けるためには、新居の購入や入居期間、床面積に条件があるため注意が必要です。
なお、合計所得金額が3,000万円を超える場合は、その年について繰越控除の特例が受けられません。
また、売却した不動産の買主が親子や夫婦など、売主と特別の関係にある場合は、損益通算および繰越控除の適用が受けられないため、ご注意ください。
そのほか、過去数年内にマイホームの売却に関する一定の特例を受けていた場合も、損益通算および繰越控除の適用外となることがあります。
詳細は、国税庁のホームページでご確認ください。
買換えではなく、マイホームの売却のみの場合も以下の条件を満たせば、特例が受けられます。
●所有期間が5年を超える
●売却したマイホームの売買契約日の前日時点で償還期間10年以上の住宅ローンの残高がある
●住宅ローン残高が売却価格より大きい
マイホーム売却時の譲渡損失の特例についても、買換え時と同様に合計所得金額が3,000万円を超える場合や買主が親子や夫婦など、売主と特別の関係にある場合は特例の適用外となります。
なお、マイホームの買換え時の特例も売却時の特例も、住宅ローン控除との併用が可能です。
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不動産売却でかかる費用の種類とは?仲介手数料と抵当権抹消費用を解説
不動産を売却して譲渡損失が発生した場合、通常は確定申告不要です。
しかし、前章で解説した特例を活用したい場合は、確定申告をしなければなりません。
譲渡損失の損益通算の特例については、売却した年の翌年の2月16日~3月15日の時期に確定申告が必要です。
譲渡損失の額が大きく、翌年以後も3年間にわたって譲渡損失の繰越控除の特例を受ける場合は、適用を受ける年に連続して確定申告をおこないます。
譲渡損失の特例を活用する際の確定申告の流れと必要書類は以下のとおりです。
確定申告の手続きは、以下の4ステップです。
●必要書類の準備
●申告書類の作成
●税務署へ提出
●還付金の受領
必要書類は、役所や法務局で取得する書類もあるため、早めに準備しましょう。
確定申告書等については、国税庁のホームページでダウンロードできます。
申告書類の作成は、国税庁のホームページを使うと、入力ガイドや自動計算機能があるため、スムーズにおこなえます。
申告書類と添付書類は、税務署に郵送するか、直接持参しましょう。
忙しい方は、オンラインで提出できるe-Taxの利用がおすすめです。
譲渡損失の申告後、もし過払いの税金がある場合は、還付金が指定された口座に振り込まれます。
マイホームの買換えで発生した譲渡損失の特例については、以下の書類が必要です。
●売却した不動産の登記事項証明書や売買契約書の写し
●購入した不動産の登記事項証明書や売買契約書の写し
●購入した不動産の住宅ローンの残高証明書(年末時点)
マイホームの売却で発生した譲渡損失の特例については、以下の書類が必要です。
●売却した不動産の登記事項証明書や売買契約書の写し
●売却した不動産の住宅ローンの残高証明書(売買契約日の前日時点)
登記事項証明書は、法務局の窓口やオンラインで取得できます。
住宅ローンの残高証明書を紛失している場合は、借り入れ先の金融機関に確認しましょう。
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不動産売却における税金対策を解説!取得費が不明な場合の対処法とは
不動産を売却したときに譲渡損失が発生したときは、損益通算および繰越控除の特例を利用すると、その他の所得にかかる税金を軽減することができます。
譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例は、マイホームを売却した時と買換えた時の2種類です。
特例を受けるには売却した年の翌年に譲渡損失の確定申告が必要となります。
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