2023-09-19
擁壁のある不動産は一般的に売却が難しいため、事前に対策が必要です。
この記事では、擁壁とはなにか、擁壁のある不動産が売却しにくい理由や早期に売却する方法をご紹介します。
神戸市北区で不動産の売却や買取依頼を検討中の方は、ぜひ参考になさってください。
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不動産における擁壁とは、地盤の崩壊を防ぐために欠かせない構造物です。
擁壁が必要となる理由や具体的な種類は以下のとおりです。
傾斜地や高低差がある土地に建物を建築すると、建物の重さや圧力によって地盤が崩れる危険があります。
こうした危険を防ぐために斜面部分に設置される壁状の構造物が擁壁です。
擁壁を設置すると、大雨による水圧や建物の土圧に耐えることができます。
また、傾斜地や高低差がある土地に建つ家は、大雨のときに土砂崩れによって地盤が崩れ、家全体が倒壊する恐れがあります。
擁壁は、そのような自然災害時にも地盤を維持し、建物の安全を保つ役割があるのです。
各自治体によっては「がけ条例」の規定に基づき、がけに隣接する場所に建物を建築するには、擁壁の設置を義務付けています。
地域によっても異なりますが、一般的に土地と道路の高低差が2m以上あるところを崖と定義します。
こうした地域規制に対応するためにも擁壁は重要です。
擁壁には、主に以下の3種類があります。
●コンクリート擁壁
●石積み擁壁
●ブロック積み擁壁
コンクリート擁壁は、強度が高く、鉄筋を埋め込むタイプが主流です。
垂直に近い壁が作れるため、土地の有効利用が可能になります。
石積み擁壁は、天然石や加工した軽石を使いますが、加工した軽石を積み上げる「大谷石積み擁壁」は強度が弱いため、現代ではほぼ使用されません。
ブロック積み擁壁は、コンクリートブロックや間知ブロックを積み上げて造る擁壁のことです。
リーズナブルで昔はよく使われましたが、現在は間知ブロック積み擁壁は「耐久性が劣るため建築要件を満たさない」とするハウスメーカーもあります。
建築基準法では、高さが2mを超える擁壁工事をおこなう際には建築確認申請が必要です。
建築確認申請とは、建造物の建築時に必要な手続きであり、建てようとする建造物が建築基準法やその他の規則を遵守しているかどうかがチェックされます。
なお、擁壁工事は土留め工事とよく混同されますが、意味が若干異なります。
土留め工事は土砂崩れを防ぐためにがけや傾斜地にコンクリートや石積みをして土を留める工事のことです。
一方、擁壁工事は土を留める「壁」を作る工事のことを指します。
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不動産売却における媒介契約から売却活動の流れについて解説
不動産において擁壁は重要な役割を果たしますが、一方で売却を難しくする要素でもあります。
擁壁のある不動産が売却しづらい主な理由は、以下の3点です。
擁壁が危険な状態にある場合、売却が困難になることがあります。
以下は、危険な状態の擁壁の一例です。
●ひび割れや変形が生じている
●異なった素材を組み合わせている
●自然石を積み上げている
●許可が必要な規模だが許可を得ていない
これらの擁壁は強度に問題があり、地震や大雨発生時に土砂災害を引き起こす可能性があるため、現状のままでは買主から忌避され売却が困難となります。
また、外見上問題がなくても、自然災害によって擁壁が変形や崩壊するリスクがあります。
たとえば、経年劣化により擁壁に設けられた水抜き穴が詰まっていると、大雨で水圧が高まったときに地盤が崩壊する恐れがあり、注意が必要です。
擁壁がある不動産を売却すると、擁壁の管理責任が買主に移ります。
擁壁が崩壊して隣地や通行人に被害を与えた場合、土地の所有者が責任を負う必要があります。
このようなリスクも売却を難しくするのです。
擁壁に問題がある場合、買主が将来建物の建設や建て替え時に擁壁の工事費用がかかるため、売却に影響を及ぼします。
とくに、問題となる擁壁は以下のとおりです。
●既存不適格の擁壁
●違法建築の擁壁
●老朽化した擁壁
既存不適格の擁壁とは、擁壁を設置した時点では法令を満たしていたが、その後法改正などで法令に適合しなくなった擁壁のことです。
違法建築の擁壁とは、違法な構造で造られた擁壁を指します。
老朽化した擁壁とは、前述のとおり経年劣化によるひび割れや変形が生じている擁壁のことです。
上記3つに当てはまる擁壁は、建物を建てるときにセットで補強工事が必要となります。
そのため、そのままの状態で売却する際は、擁壁工事にかかる費用を売却価格から差し引かなければなりません。
擁壁の工事費用は、条件によって大きく異なり、目安としては面積1㎡あたり3~15万円ほどです。
たとえば、擁壁の面積が35㎡の場合、工事費用は約105~525万円となります。
2000年以前に家が建てられた土地の場合、安全性が確認できない擁壁が多く存在します。
2000年以前は、建築確認の申請時に擁壁の安全性を保証する証拠の資料などが求められなかったためです。
安全性が確認できない擁壁は、工事をおこなわないと家の建て替えや建築ができません。
そのため、安全性の確認がされていない擁壁がある不動産は、売却時に問題となります。
また、工事機械が入れない土地や擁壁の影響範囲に他人の家がある土地の場合は工事が不可能なケースもあるため、確認が必要です。
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では、擁壁のある不動産をどのように売却すれば良いのか気になりますよね。
売却方法は、以下の3つです。
前章でも述べたとおり、擁壁の安全性は不動産の売買において重要な要素です。
まずは、売却前に専門家に依頼して擁壁の調査と点検をおこないましょう。
専門家による調査は擁壁の構造や素材、施工方法に基づいておこない、耐久性や将来的な劣化の可能性を評価します。
また、一部地域では、土砂災害の危険性が高いため、特別な規制が存在します。
擁壁の検査は、特別な規制に対応しているかを確認するためにも重要です。
施工方法による安全性の差は、擁壁が適切に設計されているか、適切な素材が使用されているかに依存します。
間違った施工方法では、新しい擁壁でも危険が生じる可能性があるため、注意が必要です。
安全性が確認できた擁壁は、買主も安心して取引できるため売却しやすくなります。
擁壁の補強工事は、不動産価格の向上と購入希望者の信頼を築くために重要です。
とくに、擁壁が危険な状態になっている場合は、注意が必要です。
擁壁そのものに欠陥があるケースや擁壁の基礎に欠陥があるケースは、補強工事だけでなく全面的に再施工が必要となる場合もあります。
再施工となると高額な費用がかかるため、不動産会社に相談しながら、費用対効果を考えて再施工をするかの判断をしましょう。
不動産会社に買取を依頼すれば、買主を探す手間が省けるため、迅速に売却できます。
擁壁のある不動産は、将来的に工事費用がかかるリスクや崩壊のリスクがあるため、買主を見つけるのに時間がかかる傾向にあります。
その点、プロの不動産会社であれば擁壁のある不動産でも買い取れる可能性が高いです。
買取価格は相場よりも低くなる可能性はありますが、補強工事等の費用を考慮すると、最終的な収益に大きな差はないでしょう。
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擁壁とは、傾斜地や高低差がある土地の地盤を強化するために必要となる壁状の構造物です。
擁壁のある不動産は、崩壊の危険性や安全性が確認できないと建て替えができない、工事費用がかかるなどの理由で売却がしづらいです。
ただし、擁壁の補強工事や安全性の確認、不動産会社に買取依頼するなどの方法で売却することもできます。
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